闘病生活の中で、「眠れない夜」というのは、想像以上に心にも体にもこたえるものでした。
夜、病室の明かりが消え、周りが静まり返ったあと。
家のベッドとは違う硬さのベッド。聞き慣れない機械の音。
点滴の違和感、副作用による身体のだるさや痛み。
そしてなにより、治療への不安や、先の見えない焦り──
いろんなことが頭の中をグルグル巡って、眠ろうとしてもまったく眠れない。
そんな夜を過ごした方も多いのではないかと思います。
「眠らなきゃ」と思えば思うほど目が冴えてしまい、
結局朝まで一睡もできないまま、翌日を迎えてしまう。
そんな日が何日も続くと、体力的にも精神的にもどんどん削られていきます。
そんなとき、私は看護師さんと相談して、睡眠導入剤(睡眠薬)を使うこともありました。
「薬に頼るのは良くないのでは…」と最初は抵抗を感じていたのですが、
睡眠がきちんと取れるだけで、翌日の気分や体調がまったく違います。
だから、睡眠薬を使うことは決して悪いことではありません。
むしろ、眠れずに心と体がボロボロになってしまうくらいなら、
「助けてもらう手段」として上手に使うのは、とても大切な選択だと思います。
ただし、ひとつだけ気をつけてほしいこともあります。
それは、「飲み続けていると効きにくくなることがある」という点です。
私も1どありましたが、繰り返し飲んでいると、次第に効果を感じにくくなってきてしまいます。
そして、眠れないことが続くと「もっと強い薬にしてください」と頼んでしまい、
いつの間にか薬が手放せなくなってしまうこともあるのです。
ですから、睡眠薬を使うときは、「必要なときに、必要な分だけ」
できるだけ間隔を空けて使うことが大切だと感じています。
眠れない夜があるのは、闘病中なら当たり前のことです。
無理に我慢しなくてもいい。でも、薬だけに頼りすぎない工夫も、同じくらい大事です。
たとえば、
・寝る前にスマホを見ないようにする
・リラックスできる音楽を流す
・少しストレッチしてみる
・呼吸に集中して、深くゆっくり息を吐く
そんな小さなことでも、眠りに近づけることがあります。
それでもどうしても眠れない夜は、「眠らなきゃ」と焦らずに、
「横になって休むだけでも、体は回復してる」と自分に言い聞かせるだけでも、少し気が楽になります。
睡眠は、闘病中の心と体を守る“治療のひとつ”。
だからこそ、自分に合った方法で、安心できる夜を迎えられるようにしていきたいですね。
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