【白血病や癌】抗がん剤投与後の“血液検査の意味”

コトバ

抗がん剤治療を受けているときに、一番注目するのは「血液検査の数値」でした。
2日に1度、週3日のペースで採血があり、結果をモニターで見るたび、その数字が自分の今の体の状態を映す“鏡”のように感じます。

特に大切なのは、白血球(とくに好中球)です。もちろん赤血球・血小板も、ではありますが。
赤血球や血小板については、数値が一定のラインを下回れば輸血で補うことができます。そのため「そろそろ輸血かな」と、ある程度の目安をつけながら構えておくことができます。

一方で白血球、とくに好中球の数値は、もっと大きな意味を持っています。
この数値は、「自分の体がどれだけ感染に弱い状態か」を知る重要な指標です。数値が下がれば下がるほど、普段なら何でもない小さな傷や細菌が、深刻なトラブルにつながる危険性が高まります。さらに、病棟の外に出られるかどうかを判断する目安にもなります。つまり、この数値を見れば「今の自分がどのくらい安全に行動できるか」がはっきり分かるのです。

そしてもうひとつ。
好中球の数値は「薬が効いているかどうか」を判断する材料にもなります。抗がん剤がしっかり効いていれば、骨髄抑制によって白血球は大きく減っていくもの。逆に、思ったほど下がらない場合は「効き目が不十分なのでは」と不安になってしまうのです。

私の場合、1回目の寛解導入療法で好中球数は 270 まで下がりました。
当時はその数字だけを見て「かなり低くなった」と感じましたが、周囲の患者さんの多くはさらに深刻なレベルまで下がっていたため、「自分の治療はあまり効いていないのでは」と不安になる気持ちが芽生えたのも事実です。

さらに、回復のスピードも思った以上に遅く、「やっと少し戻ってきたかな」と思った矢先に、血液中に再び**Blast(白血病細胞)**が現れてしまいました。
この瞬間、「薬が効ききっていなかったのかもしれない」という最悪の現実を突きつけられたのです。

血液検査の数値は、ただの数字に見えるかもしれません。
けれど、患者にとっては「命のバロメーター」です。数値の上下に一喜一憂しながら、「効いているのか」「耐えられるのか」「次はどうなるのか」と心を揺さぶられる時間でした。

だからこそ、これから治療を受ける方には、ぜひ血液検査の意味を理解して、自分の体と向き合ってほしいと思います。
数字は冷たく無機質ですが、その裏には確かに「自分の体がどう戦っているか」が映し出されているのです。

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