抗がん剤治療を初めて受けるとき、多くの人が心配するのは「副作用」です。
以前のブログでも書きましたが、抗がん剤を投与したその日から、すぐに強い副作用が現れるわけではありません。
もちろん、治療に対する不安が大きいので「いったい何が起こるのだろう」と構えてしまいます。ですが、少なくとも投与直後は体に大きな変化はなく、拍子抜けするくらい普段と変わらない生活ができました。
副作用が現れ始めるまでの間は、パソコンしたり、本を読んだり、病棟内で運動したりと、日常とあまり変わらない時間を過ごすことができます。だから「抗がん剤=すぐに辛い」というイメージで過度に怖がる必要はありません。
見た目の変化はあっても、生活はできる
副作用が出てきても、その多くはすぐに命に関わるものではありません。
たとえば脱毛。これは誰もが想像する代表的な副作用ですが、毛が抜けて見た目は大きく変わるものの、生活そのものに支障はありません。鏡を見たときにショックを受けたり、人に会うのをためらったりと、気持ちの面ではダメージがありますが、少なくとも「体が動かない」といったことはありません。
また、吐き気や食欲不振もありますが、これも投与直後にすぐ現れるものではありません。徐々に症状が出てくるため、最初の段階で慌てる必要はないのです。
本当に怖いのは「感染」
私が1クール目で痛感したのは、見た目や気分の問題よりも「感染のリスク」こそが一番怖いということです。
抗がん剤の影響で骨髄抑制が起こり、白血球が減少していくと、体の免疫力が一気に落ちてしまいます。数値としては目に見えるのですが、体感としてはほとんど変化がないため、意識しづらのが厄介な点です。
しかし、その状態で小さな傷や細菌に触れると、普段なら治るものでも深刻なトラブルになります。
たとえば私は、歯磨きのときにほんの少し歯茎を傷つけただけで、口内炎かと思ったら潰瘍になってしまいました。ちょっとしたことが、想像以上に大きな問題へと発展してしまうのです。
さらに白血球が下がった状態では、発熱も大きなサインになります。自分では特に無理をした覚えがなくても、ある日突然熱が出てしまう。熱が出てしまうと、自力で治すことができないので、すぐに抗生剤投与が始まります。そのとき改めて、「自分は今、外からの敵に無防備な状態なんだ」と実感するものです。
抗がん剤後に意識したいこと
もちろん、脱毛や吐き気などの副作用も決して軽視できません。精神的にも肉体的にも辛いものです。けれども、最も恐ろしく、注意すべきなのは「感染症のリスク」。
抗がん剤治療は、投与したら終わりではありません。その後の日常生活の中でいかに感染を防ぐか。そこに意識を向けることが、とても大切だと思います。
だからこそ、投与後の生活では「体を清潔に保つこと」「無理をしないこと」「小さな変化を見逃さないこと」。この3つを意識して過ごすことが、治療を安全に乗り越えるための鍵になるのだと感じています。
1クール目の抗がん剤治療を経験してみて、最初に恐れていた「副作用の辛さ」よりも、その先にある「感染の怖さ」に強く気づかされました。
見た目の変化や吐き気は、たしかに心身を苦しめます。けれども、それ以上に「感染による発熱」は命に関わる重大な問題です。
だからこれから治療を受ける方にはぜひ、「抗がん剤投与後は、感染に気をつける」ということを心に留めて過ごしてほしいと思います。
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