【白血病や癌】ベッドサイドから広がる世界──病室モニターがくれた小さな自由

コトバ

病室のベッドサイドに設置されたモニター。
少し前までは「入院中にテレビを見るための機械」というイメージが強かった。
ところが、私が入院していた病院のモニターは、それだけでは終わらなかった。

その画面から、食事のメニューを選べるのだ。
病院食というと「決められたものを出される」印象だったが、自分で選べるだけで気持ちがずいぶん違う。
「今日は和食にしようかな、それともパンにしようかな」──そんな小さな選択でも、入院生活の中では大きな楽しみになった。

さらに驚いたのは、病院内にある図書館の蔵書を検索できる機能があったこと。
ベッドから動かずに、どんな本があるのか調べられた。
これは当時の私にとって、とてもありがたい機能だった。

正直に言うと、病気になる前はほとんど読書をしない人間だった。
活字よりもテレビやスマホのほうが性に合っていた。
けれど、この病院に転院してくる前、お見舞いに来てくれた友人が一冊の本を手渡してくれた。
それが、あの有名な「半沢直樹」シリーズだった。

「まぁ暇つぶしにでも読んでみて」と笑って言った友人。
何気なくページを開いた私は、気づけば物語の世界に引き込まれ、一気に読み終えてしまった。
そこから読書の楽しさに目覚め、次は何を読もうかとワクワクするようになった。

だから、ベッドサイドのモニターから蔵書を検索できることが、どれほど嬉しかったか。
病室という限られた空間の中で、本を通して世界がぐっと広がった気がした。

さらに、このモニターや病室の設備でインターネットも利用できた。
調べ物をしたり、友人と連絡を取ったり、ニュースをチェックしたり──
病院生活において、こうした機能は「ただ療養するだけの時間」を「学びや発見のある時間」に変えてくれた。

入院が長期間にわたればわたるほど、過ごし方が重要になる。
こうした小さな自由や楽しみが、日々の気持ちを少し軽くしてくれる。
病室のベッドサイドから広がる小さな世界は、私にとって大きな支えになっていた。

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