前回のブログで、兄弟間での骨髄移植について書きました。兄2人はフルマッチ(HLAが完全一致)していたのに、私だけは一致せず――結果を知ったときの衝撃は、とても言葉にしきれません。
白血病の治療が始まってからの流れも決して順調ではありませんでした。最初の寛解導入療法で寛解に至らず、さらに白血球の回復も遅れ気味。そのうえ兄弟間でのフルマッチも叶わず、「なぜ自分だけ…」という思いが心の中で渦を巻いていました。正直に言えば、その時点でかなり“悪い流れ”に乗ってしまっているような感覚にとらわれていたのです。
でも今、こうしてメンタルコーチとして活動している自分が振り返ると、あの浮き沈みを経験したからこそ伝えられることがあると実感しています。
大切なのは、つらい出来事に直面したとき、自分の感情を無理に抑え込まないことです。悲しいときは泣く。凹んだときは「凹んでいる」と認める。涙があふれそうなときは我慢しない。それが自然なことだからです。
私の場合、兄とフルマッチしなかった結果を知ったとき、同じ時期に闘病していた同年代の男性に話を聞いてもらいました。偶然にも、彼も似たような状況に直面していたそうです。お互いに「そうなんだ、自分も同じだよ」と言葉を交わす中で、心が少しずつ軽くなっていきました。
打ち明けることで共感してもらえる。誰かに話すことで気持ちが整理される。そして「同じ境遇にいる仲間がいる」と知ることで、前を向こうと思える。――その体験は、今でも強く覚えています。
だからこそ、言いたいのは「気持ちを溜め込まないでほしい」ということです。相手に迷惑をかけるのではないか、と心配する必要はありません。その時くらいは、自己中でいいんです。自分の心を守ることを最優先にしていいんです。
つらさを正直に表現し、誰かに話す勇気を持つこと。それが、重い現実の中でも心を支えてくれる大切な力になるのだと思います。



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