闘病中というのは、長くなればなるほど、体だけでなく心も疲弊していくものです。
痛みや副作用、治療の苦しさ、不安や孤独…。
じわじわと患者の心を蝕んでいくもの。
私が入院していたがんセンターには、ありがたいことに臨床心理士さんがいて、定期的に病室に来てくださっていました。
私の担当になってくれたのは、落ち着いた雰囲気の女性の臨床心理士さん。
とても柔らかい雰囲気のある方で、話していると自然と気持ちがほぐれていくのを感じたのを、今でもはっきりと覚えています。
彼女は、特別なことをするわけではありません。
無理に質問するでもなく、アドバイスを押しつけるでもなく、
ただ私の話をしっかりと聴いてくれていたのです。
もちろん質問があればそれにしっかりと答えてくれる。
不思議なもので、闘病している方というのは、「わかってくれる人がここにいる」と思えるだけで、
心の重みが少しずつ軽くなっていくものです。
病室という閉ざされた空間の中で、患者さんは、自分の気持ちに押し潰されそうになるときは多いと思います。
私も、あの臨床心理士さんとの時間があったからこそ、自分の気持ちとゆっくりと向き合い、少しずつ整理することができたと思います。
闘病中というのは、どうしても「体の治療」が優先になります。
でも、人間は心が折れてしまえば、治療と向き合う気力さえ失ってしまう。
そんな“心の治療”を支えてくれる臨床心理士さんの存在は、私にとって本当に大きなものでした。
残念ながら、私が治療を終える前に、彼女は別の病院へ移ってしまいました。
だから、無事に治療を終えられたことも、今こうして元気に生きていることも、
直接お伝えすることができていません。
でももし、いつかどこかでこのブログにたどり着いてくれて、
「この人、元気にやってるんだな」って思ってもらえたら――
そんな想いで、この記事を書いています。
あのとき、私の心に寄り添ってくださった臨床心理士さんへ。
本当に、ありがとうございました。
あなたの存在に救われた患者が、ここにいます。
コメント