【白血病や癌】「ここでなら闘える」と思えた場所──私が見た治療環境の力

コトバ

転院先の病院に到着し、入院手続きを終えた私は、いよいよ新たな治療生活の第一歩を踏み出しました。

案内された病棟は、これまでいた病院とはまったく違う空気感でした。
以前のブログでも触れましたが、ここは病棟全体が“無菌病棟”として管理されているため、そもそも入れる人自体が厳しく制限されています。

当然ながら、病棟内は非常に清潔に保たれており、空気が澄んでいるようにすら感じるほど。
白血病などの血液疾患にとって、感染症は時に命取りになります。だからこそ、こうした環境の整備は、単なる「設備の違い」ではなく、「治療の質」そのものに直結していると、身をもって実感しました。

病棟内には「デイルーム」と呼ばれる共有スペースがあり、そこでは患者同士が雑談したり、テレビを観たりする穏やかな時間が流れています。
限られた外との接点のなかで、こうした小さな交流の場があることは、思っていた以上に心を支えてくれる存在でした。

病室は個室と2人部屋、病棟内にはリハビリ用にエアロバイクや踏み台昇降などの器具も設置されていて、体を動かす環境も整っています。
「寝ているだけ」ではなく、「回復に向けて動いていく」姿勢が、病棟全体から感じられたのが印象的でした。

正直に言うと、前にいた病院との違いは歴然でした。

前の病院は、建物自体に年季があり、無菌病棟ではなく**無菌“室”**があるだけ。
私はまだ治療前だったので、その無菌室にも入っていませんでしたが、空間全体の清潔感や整い具合には、大きな差がありました。

もちろん、歴史ある病院であるがゆえに、古さは仕方ないのかもしれません。
でも、この転院先で感じた「整った環境」と「安心感」は、それだけで“回復への追い風”になると思えるほどのものだったのです。

そして何より、感動したのは人の部分でした。

看護師さんをはじめ、事務のスタッフさんまでもが、すごく丁寧で穏やか。
対応もスムーズで、こちらの不安を先回りして察してくれる場面もあり、「この病院は、研修や教育がきちんと行き届いているんだろうな」と感じました。

患者の不安は、言葉にならないことも多い。
でも、そうした見えない気持ちに寄り添おうとする姿勢に、何度も心を救われました。

どんなに医療技術が高くても、どんなに優れた薬があっても、その治療を受ける「環境」が整っていなければ、心がついていかないこともある。

「ここでなら、闘っていける」
そう思えたこの環境との出会いは、私にとってひとつの希望でした。

これから長く続く治療の道のり。
けれど、この病院でなら、きっと乗り越えられる――
そんな確かな予感が、当時の私の中で芽生えていました。

 

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